空き家はどこにある? ― オープンデータと地図で「調査すべき場所」を絞り込む

あなたの自治体に、空き家は何軒ありますか?

この質問に即答できる担当者は、全国でもほとんどいないでしょう。毎年度、限られた人員で現地調査を行い、台帳を更新し、対策を検討するーーその作業量は年々増える一方で、担当者の疲弊は深刻です。

しかし見方を変えれば、「どこを調査すべきか」の精度を上げることができれば、同じ人員でもはるかに多くの空き家を発見・対策できるはずです。そのカギを握るのが、国が整備するオープンデータと地理空間情報の活用です。

増え続ける空き家、変わらない調査手法

総務省の「住宅・土地統計調査(2023年)」によると、全国の空き家数は約900万戸。住宅全体の約13.8%にのぼり、過去最高を更新し続けています。老朽化した空き家は、景観の悪化・倒壊リスク・不法投棄の温床になるだけでなく、地域の資産価値の低下や人口流出の加速にもつながります。2023年には改正空家等対策特別措置法が施行され、「管理不全空家」への対応強化が自治体に求められるようになりました。

一方で、多くの自治体では調査手法がほとんど変わっていません。職員が地区を巡回し、目視で「怪しい建物」をリストアップする。その作業を毎年繰り返す。小規模な自治体では、担当者がほぼ一人で全域をカバーしなければならないケースもあります。

「どこを見ればいい?」がわかれば、現場が変わる

空き家対策で最初に時間がかかるのは、「どこに行けばいいかわからない」状態です。

広い行政区域をくまなく回るのではなく、「空き家になっている可能性が高い建物・エリア」を事前に絞り込んでから現地に向かうことができれば、調査効率は大きく変わります。そのために活用できるのが、すでに国が整備・公開しているオープンデータです。

たとえば国土交通省が提供するProject PLATEAU(3D都市モデル)には、整備が進む自治体では建物の位置や形状だけでなく、構造や築年数といった詳細な情報まで活用できます。これに地理院タイルや高解像度の航空写真を重ね合わせることで、「屋根にブルーシートがかかっている」「敷地内に草木が不自然に繁茂している」といった建物の状態を、デスクにいながら視覚的に確認できます。

これらを地図上に統合すれば、「築年数が古く、上空から見て荒廃が見受けられる建物が集中している地区」を画面上で特定し、そこを優先的に調査するルートを組むことができます。闇雲に全域を回るのではなく、データを根拠にした効率的な現地調査が実現します。

市民の目も「地図」に集める

もう一つ注目されているのが、市民参加型の情報収集です。

「あの家、ずっと誰も住んでいないと思う」ーーこうした地域住民の気づきは、行政の巡回調査よりもはるかに早く、細やかなものです。しかしこれまでは、その情報を受け取る窓口が電話や口頭に限られており、「それが地図上のどの建物を指しているのか」を正確に特定し、台帳へ反映するまでに多くの手間がかかっていました。

ここで活躍するのもデジタルの地図です。スマートフォンから位置情報と現地の写真をセットで送信できる通報フォームを用意すれば、市民からの情報がそのまま地図上の「調査候補ピン」としてマッピングされます。

デジタルが担うのは「初動の最適化」

もちろん、空き家対策のすべてをデジタルで完結できるわけではありません。登記簿からの所有者特定や、所有者への指導・交渉、そして法的な手続きといった最終的な解決には、どうしても人の手による地道な業務プロセスが必要になります。

しかし、その重い実務に入る手前で、「どこに優先して着手すべきか」を地図上で正確に把握できていれば、限られた職員のリソースを本当に必要な業務へ集中させることができます。デジタル地図の役割は、この「初動の最適化」にあるのです。

ローラー作戦から「狙い撃ち」へ

オープンデータによる「マクロな絞り込み」と、市民からの通報による「ミクロな情報収集」。この2つをデジタル地図上で統合し、既存の台帳システムと連携させることで、自治体の空き家調査は従来のローラー作戦から、確度の高い「狙い撃ち」へと劇的に進化します。

Geoloniaでは、こうしたオープンデータの活用や、地図を使った業務効率化の仕組みづくりを支援しています。「空き家調査をもっと効率化したい」「庁内のデータを地図で可視化したい」とお考えの自治体様は、ぜひお気軽にご相談ください。