庁内業務を支える”統合型GIS”とは?地図データの心臓部を分かりやすく解説
自治体のデジタル化を進める中で、「統合型GIS」や「庁内GIS」という言葉を聞く機会があるかと思います。以前の記事では公開型GISについてご紹介しましたが、今回は「統合型GIS(庁内GIS)」について、その役割やメリット、そして私たちGeoloniaが提供する「地理空間データ連携基盤」との関係性について、分かりやすく解説していきます。
GIS統合型GIS(庁内GIS)とは?
統合型GIS(庁内GIS、庁内共有GISとも呼ばれます)とは、その名の通り、主に自治体の「庁内」で、職員さんが業務で利用するために様々な地理空間情報を「統合」して管理・活用するシステムのことです。
住民向けに情報を「公開」することを主目的とする「公開型GIS」とは異なり、統合型GISは庁内業務の効率化や高度化を支えることを目的としています。
具体例の一部としては、以下のような様々な部署の業務で利用されています。
- 道路管理課:道路台帳の管理、占用許可申請の確認
- 防災危機管理課: 避難所情報、ハザードマップ情報の管理、災害対応計画
- 環境課:ごみ収集区域の管理、環境調査データの管理
- 福祉課:福祉施設マップ、サービス提供エリアの管理
これらの部署がそれぞれ管理している地図情報を、共通の基盤(統合型GIS)上で一元的に管理・共有することで、部署間の連携をスムーズにし、業務の効率化を図ります。
統合型GISのメリット
統合型GISを導入・活用することで、自治体の職員さんには主に以下のようなメリットがあります。
- 業務効率の大幅アップ
これまで紙の地図や部署ごとにバラバラだったデータを探す手間がなくなり、必要な情報をシステム上で素早く検索・確認できます。地図上での分析機能を使えば、より高度な業務判断も可能になります。 - 部署間の情報共有がスムーズに
各部署が同じ地図データを参照できるため、「言った言わない」や認識の齟齬を防ぎ、円滑な連携を促進します。例えば、都市計画の情報を道路管理課がすぐに確認できる、といったことが可能になります。 - データの精度向上と維持管理の効率化
地図情報が一元管理されることで、重複入力や更新漏れを防ぎ、データの精度を高く保つことができます。更新作業もシステム上で効率的に行えます。 - 迅速な意思決定の支援
災害時など、緊急性が求められる場面でも、関連部署が必要な情報を地図上で素早く共有・分析し、迅速な意思決定を行うための助けとなります。
統合型GISの代表的な製品例
統合型GISは、多くのベンダーから様々な製品が提供されています。皆さんの庁内でも、以下のような企業のシステムが導入されているかもしれません。(あくまで一例です)
- パスコ株式会社 (統合型GISソリューション)
- アジア航測株式会社 (ALANDIS)
- エアロトヨタ株式会社(Smart AiMAP for WEB等)
- 国際航業株式会社 (Geniusシリーズ)
- 株式会社インフォマティクス (GC Navi)
- ESRIジャパン株式会社 (自治体向けソリューション)
- NECソリューションイノベータ株式会社 (GISAp)
これらのシステムは、それぞれ特徴や得意分野を持っていますが、庁内の様々な地図情報を統合管理するという基本的な役割は共通しています。
庁内のデータをデータ住民サービスや公開型GISなどの他システムと連携させるには? Geoloniaの役割
統合型GISは庁内業務にとって非常に強力なツールですが、そのデータは基本的に庁内ネットワーク(LGWANなど)で利用されることが多く、住民向けのサービスや他のシステムと直接連携させるのは難しいのが現状です。
「この統合型GISに入っている貴重なデータを、もっと住民サービスや他の業務システムでも活用できないだろうか?」
そんな声に応えるのが、私たちGeoloniaが提供する「地理空間データ連携基盤」です。
この基盤は、統合型GISを含む様々なシステムが持つ地理空間データを集約し、標準化された形式(APIや地図タイル)で配信することで、庁内データと外部システムとの「架け橋」となる役割を果たします。
Geoloniaはデータ連携の実績があります
私たちGeoloniaは、高松市や焼津市などで地理空間データ連携基盤を構築・運用するプロジェクトを進めてきました。その中で、いくつかのベンダーが提供する統合型GISシステムと実際にデータを連携させた実績があります。
具体的には、統合型GISが管理している都市計画情報、道路情報、施設情報などのデータを地理空間データ連携基盤に取り込み、
- 住民向けの公開型GIS(スマートマップ)で分かりやすく表示する
- 他の業務システム(例:防災情報システム、施設予約システム)からAPI経由で利用する
- 空間IDを付与して、他のデータ(例:人流データ、センサーデータ)と組み合わせて分析する
といったことを実現しています。
「うちのGISデータも繋がるかも?」と思ったら
もし、皆さんの庁内で活用されている統合型GISのデータについて
- もっと簡単に住民向けの情報発信に使いたい
- 他の部署のシステムと連携させて、新しい分析やサービスを作りたい
- せっかく整備したデータを、もっと色々な場面で再利用したい
と考えているなら、そのデータはGeoloniaの地理空間データ連携基盤と連携できる可能性が高いです。
もちろん、具体的な連携方法やデータの形式については、現在ご利用中の統合型GISの仕様や、提供しているベンダーさんとの調整が必要になります。
まずは一度、「庁内のGISデータを、地理空間データ連携基盤のような外部のシステムと連携させたいのだけど、可能だろうか?」と、ご利用中の統合型GISベンダーさんに相談してみてはいかがでしょうか。
Geoloniaは、統合型GISベンダー様とも協力しながら、自治体の皆様が保有する貴重な地理空間データを最大限に活用し、業務効率化や住民サービス向上に繋げるお手伝いができればと考えています。
統合型GISと地理空間データ連携基盤の連携にご興味があれば、ぜひGeoloniaまでお気軽にお問い合わせください。