APIって何? 地図データの活用が変えるスマートシティ
近年、「スマートシティ」や「自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)」といった文脈でよく聞かれるようになった「API」という言葉。しかし、実際にどのような仕組みで、何が出来るようになるのかは、意外と知られていないかもしれません。
この記事では、APIとはそもそも何か、そして地図がAPIを持つことがなぜ重要なのか、さらにAPIを活用した具体的なサービス事例を交えながら、APIがスマートシティの未来をどのように形作っていくのかを解説します。
そもそもAPIとは?
APIは「Application Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」の略称です。簡単に言うと、「あるソフトウェアやサービスが、別のソフトウェアやサービスと連携するための窓口やルール」を定めたものです。
これを私たちの日常生活に例えてみましょう。 たとえばレストランで、店員に「カルボナーラをください」と頼むと、キッチンで料理が作られて運ばれてきます。この「店員」にあたるのがAPIで、システムの中身を知らなくても、決められたルールで情報や機能を利用できる「窓口」の役割を果たします。
地図がAPIを持つことで実現できること
地図は、私たちの生活の様々な場面で利用されています。GoogleマップやAppleマップ、Yahoo!地図など、多くのデジタル地図サービスが普及していますが、これらの地図もAPIを持つことで、その活用範囲を劇的に広げています。
- 必要な地図データに即時アクセスでき、開発スピードが格段に向上する
- 地図がAPIを持っていない場合、開発者は道路、建物、地形などの地図データを一から集め、加工・整備する必要があるため、専門知識と多くの時間・コストがかかります。
- 一方、APIを通じて地図データが提供されていれば、開発者はすぐに目的のデータにアクセス可能なため、Googleマップのような汎用的なAPIやSDKを使うだけで、地図アプリや地域情報サービスなどをスピーディに構築できます。
- 結果として、自治体でも職員や委託業者が短期間でサービスを立ち上げやすくなり、住民への提供価値を早く届けられるようになります。
- 地理空間データの統合や外部サービスとの連携がしやすくなる
- 避難所の位置情報やハザードマップなど、自治体が持つ地理空間データは、従来はシステムごとに閉じた形で管理されてきましたが、自治体の地図がAPIを持つことで、防災アプリや観光情報サイトなどの他のシステムと簡単にデータをやり取りできるようになります。
- さらには、自治体の防災情報と民間の人流データを組み合わせて分析することや、交通情報と連携させて避難経路を表示する、といった柔軟な活用が可能になります。
- 一度作ったサービスを他の自治体にも簡単に「横展開」できる
- APIによって提供される地図データが標準的な形式になっているため、ある自治体で開発したアプリやサービスを、他の自治体でもほぼそのまま使えるようになります。
- 例えば、災害情報を地図に載せて公開するWebアプリをA市で開発したとします。地図や避難所データがAPIで取得できる形式であれば、B市やC市でも設定だけ変えて同じ仕組みを利用でき、限られた予算・人員でDXを進める自治体にとって、大きなメリットです。
APIを活用したサービス事例
APIを通じて地図データが提供されることで、様々な分野で革新的なサービスが生まれています。
防災・減災
発災時、刻々と変化する状況に紙のハザードマップや従来の防災アプリでは情報更新が追いつかないという課題がありましたが、地図がAPIを持つことで、この課題は大きく改善されます。
- リアルタイム情報共有アプリ: 災害対策本部や現場職員がWebアプリから入力した避難所の開設状況や被害報告が、APIを通じて地図上にリアルタイムで表示・共有されます。
- センサーデータ連携: 潮位センサーや冠水センサーの情報がAPIを通じて地図上に表示されることで、住民は危険箇所をリアルタイムに把握できます。
都市計画・まちづくり
都市計画やまちづくりには、様々なデータが不可欠です。APIはこれらのデータを統合し、より良い意思決定を支援します。
- 公開型GIS: 都市計画や防災、観光情報など、自治体が保有する複数のデータを地図上で一元的に公開できます。これにより、住民や事業者が地域の情報を手軽に活用できます。
- 交通情報配信アプリ: 駐車場の満空情報やバス・タクシーの運行状況がAPIを通じて地図に表示されることで、交通渋滞の緩和や効率的な移動を促進します。
交通・物流
APIは、物流の効率化や新たな移動サービスの創出にも貢献しています。
- AIを活用した運行最適化: AIが交通情報やイベント情報、過去のデータなどをAPI経由で取得・分析することで、タクシーやバスの最適な配車ルートを導き出します。
- ドローンの航路設計:建物の高さや飛行禁止区域、気象情報といった多岐にわたる地理空間情報をAPIから取得することで、安全かつ効率的な航路を設計できます。標準化されたデータがあることで、こんな分野でも実際に使われはじめています。
地図は「見る」から「活用する」時代へ
地図がAPIを持つことは、単なる技術的な進歩ではなく、私たちの社会をより豊かにする新しい価値を生み出すためのインフラです。APIは、データの壁を取り払い、多様なサービス開発を促進し、スマートシティの実現を加速させます。
APIを通じて地図データを活用することは、もはやIT企業や専門家だけのものではありません。行政職員や市民、学生が、地域の課題解決に向けて新たなアプリケーションを創造する時代が始まっています。地図を、ただ「見る」ものから「使って動かす」ものにするため、APIはその変化を支える大事な仕組みです。これからの地域づくりにおいて、地図データをどう活用するかが大きなカギになっていきます。ータ連携基盤」を提供しています。これにより、自治体標準オープンデータセットの普及と活用を強力に後押しします。
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