「1-2-3」と「1丁目2番3号」は同じ場所? 自治体DXの隠れた壁“住所の表記ゆれ”を解決する「住所正規化」とは
「全庁的なデータ連携基盤を導入したのに、いざデータを統合しようとしたらエラーばかりで使い物にならない」
「突合できないので、人手で確認してくださいと言われた」
自治体のDX推進やシステム統合の現場で、こうした声が上がることは少なくありません。その原因として見落とされがちな「隠れた壁」をご存知でしょうか。それが「住所の表記ゆれ」です。
今回は、自治体職員の膨大な時間を奪っている住所データの課題と、それを根本から解決する「住所正規化」の技術について解説します。
パソコンは「1-2-3」と「1丁目2番3号」を同じと認識できない
人間の目で見れば、「霞が関1-2-3」と「霞が関一丁目2番3号」が同じ場所であることはすぐにわかります。しかし、コンピュータは、これらを異なる文字列として扱うため、単純な一致判定では同じ住所だと判断できません。
また、実務では以下のような違いも混在します。
- 全角/半角(1/1)
- 漢数字/算用数字(一丁目/1丁目)
- ハイフンの種類(- / ー / −)
- スペースの有無
- 「ヶ」「ケ」「が」の揺れ
さらに、自治体の中では、課ごとに異なるシステムや台帳(Excel)が使われており、住所の入力ルールもバラバラです。
- A課の台帳: 〇〇市△△1丁目2番3号(番や号を略さずにに入力)
- B課の台帳: 〇〇市△△1-2-3(ハイフンで省略)
- C課の台帳: 〇〇市△△1-2-3 メゾン桜201(建物名がくっついている)
いざ「災害時の避難行動要支援者名簿(福祉・介護・住民データの統合)」を作成したり、「空き家候補の抽出(水道閉栓データと固定資産税台帳の突合)」を行おうとすると、システムが「一致しません」とエラーを返します。結果として、支援の対象者が漏れてしまったり、誤った通知を出してしまったりするリスクが生じるのです。
Excelでの「手作業クレンジング」は限界を迎えている
では、現場ではどう対応しているのでしょうか。多くの場合、職員がExcel上で一つ一つの住所を目視で確認し、手作業で住所を修正する「データクレンジング」が行われています。
「ハイフンを『丁目』に一括置換すればいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、日本の住所表記は非常に複雑です。
- 「ヶ丘」の「ヶ」は大きいのか小さいのか、「ケ」なのか
- 京都特有の「通り名」はどう扱うのか
- 北海道の「条・丁目」表記
- 市町村合併や区画整理による住所変更
単純な置換ルールでは必ず例外が発生し、最終的には人の目による確認が必要になります。この作業に、毎年度多くの時間とコストが費やされているのが実情です。
住所の表記を自動で統一する
この課題を根本から解決するのが、Geoloniaが提供する「住所正規化(ノーマライゼーション)」の技術です。
住所正規化とは、バラバラに入力された住所の文字列を、コンピュータが正確に読み取れる標準化されたフォーマットに自動で補正・変換する技術のことです。これにより何が起きるのでしょうか。
これまで台帳ごとにバラバラだった表記が統一され、システムや台帳間で正確に突合できるようになります。住所を単なる「文字列」として比較するのではなく、都道府県や番地といった「構造化されたデータ」に変換することで、
- 「1-2-3」と「1丁目2番3号」
- 「一丁目」と「1丁目」
といった表記ゆれを吸収し、同一の住所として正しく紐づけることができます。
また、後ろにくっついてしまった建物名や部屋番号などもシステムが自動で分離・解釈するため、ノイズのない綺麗なデータに生まれ変わります。
座標化された住所は「生きた地図データ」になる
正規化とあわせて、緯度・経度(座標)」を付与することも可能です。住所が座標として整備されると、データは大きく価値を変えます。
単なるExcelの文字リストだった情報が、地図上に可視化できる「生きたデータ」へと生まれかわります。
これにより、
- 要支援者の分布把握(防災)
- 空き家のエリア分析(まちづくり)
- サービス提供の最適化(福祉)
といった、地図を活用した分析やEBPMが可能になります。
真のDXは「データの基礎工事」から
最新のクラウドシステムやAIを導入しても、元となるデータが整備されていなければ、その効果は十分に発揮できません。
住所正規化は派手な技術ではありませんが、自治体DXを支える重要な「基礎工事」です。データクレンジングという消耗的な作業から職員を解放し、真の業務効率化と市民サービス向上を実現するために。
Geoloniaは「地理の知恵で、社会をしなやかにします」をミッションに、自治体の皆様のデータ活用を土台から支援します。「うちのバラバラな住所データ、なんとかならないか」とお悩みの担当者様は、ぜひご相談ください。
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