香川県高松市様

高松市の事例:分野・セクターを超えた共創モデルで、持続可能なスマートシティを実現
期間
令和4年度導入 *デジタル田園都市国家構想推進交付金(TYPE3)活用
令和5年度機能拡充 *デジタル田園都市国家構想推進交付金(デジタル実装TYPE2)活用
内容
- 地理空間データ連携基盤
- 地理空間データ連携基盤と連携したアプリケーション:公開型GIS「高松スマートマップ」、水防本部アプリ、市民向け防災アプリ「たかまつマイセーフティマップ」、駐車場情報アプリ「どこ駐車ナビ高松」、小学校通学路収集フォーム他多数
背景
近年、人口減少や少子・超高齢社会の急速な進行により税収が減少する一方で、市民ニーズは多様化しており、地方における都市経営は極めて厳しい状況にあります。このような中で、高松市では、持続可能な都市経営を行うためには、政策統合により、一度に多くの課題が解決できる仕組み、シェアリングが必要であると考えました。シェアリングが進んでいない要因として、縦割りが強く課題が共有できていないこと、また資源が紙であることが挙げられます。このようなことから、デジタル技術の活用は必須であると考えました。
導入前の課題
高松市では、先行して都市OS FIWAREを導入し、防災分野でのシステムを一つ構築したものの、その後の他の部署の業務への展開が難しく、分野間連携が起きていないという課題がありました。 1つのデータが入ると、様々なデータやサービスがつながるのが理想です。このようなコネクトしやすいデータが入っていないことがスマートシティが進んでいない要因であると考えました。そこでコネクトしやすいデータとして着目したのが、移動データ、地図(位置情報)、決済情報です。とりわけ地図は、行政手続きの中で多く使われており、サービスを提供する時に、インターフェイスに地図があるのは使いやすく、コネクトしやすいデータであると考え、インフラ台帳を基軸とした地図、つまり自治体版ベースレジストリから着手しました。
解決策
高松市は、2022年度にデジタル田園都市国家構想推進交付金の採択を受け、Geoloniaの「地理空間データ基盤」を導入しました 。この基盤は、地理空間情報を活用して複数のデータを連携させることで、以下を実現しました。
- 「自治体版ベースレジストリ」の構築: 多種多様な地理情報を統合的に管理・活用する「自治体版ベースレジストリ」の役割を地理空間データ基盤が担うことで、各部署が持つデータを組織全体で共有できるようになり、業務のBPRを進めることができました。
- スムーズなサービス開発: 地図を「ハブ」として様々なデータを連携させることで、防災や交通など、分野を横断した新しいサービスを次々と生み出すことができるようになりました 。FIWAREとも連携することで、既存の防災システムも活かしながら、地図とデータを組み合わせた新しいソリューションを構築しました。

「目指すべきベース・レジストリ基盤」高松市提供資料より
導入のポイント
- 「土台(ベース・レジストリ)」の効率化: 地理空間データ基盤を構築したことで、行政データの維持管理が効率化され、庁内における業務プロセス改革(BPR)や、市民向けのサービス提供が可能となりました 。
- 多様なアプリケーションの実装: 庁内の防災アプリケーションから、市民向けの公開型GIS「高松市スマートマップ」、交通系アプリケーションまで、様々なサービスを構築できました。
- 官民連携の促進: 民間の駐車場情報や交通情報などもデータ連携することで、行政だけでは解決が難しい課題に対応し、持続可能なまちづくりを進めています 。
主な成果
- 市民向けサービスの創出: 地理空間データ基盤を活用して構築した防災アプリ「たかまつマイセーフティマップ」は、R6年度末で目標の5,000人を上回る5,131人に利用されました 。市民が窓口に来なくても情報を確認できるようになり、職員の負担軽減にもつながりました 。
- 業務効率化: 「水防本部アプリ」や「消防アプリ」により、災害時に効率的に対応できる環境も整備されました 。また、道路の使用承認など、位置情報に関連する業務のプロセス改革も進みました。
- 経済活性化: 駐車場情報アプリ「どこ駐車ナビ高松」は、運用開始(R7.2)から年度末までに約54,000件のアクセスがあり、アリーナ開館に伴う交通混雑の防止に寄与しました。

「基盤の導入により生まれたもの」高松市提供資料より
今後の発展
高松市では、インフラ台帳を管理する地理空間データ基盤を「土台」とし、この基盤上に「業務アプリケーション」と「新しい市民サービス」を構築しています。サービスからではなく、土台であるベースレジストリの業務改善から着手しており、基盤で台帳を管理する部分だけとっても、以前よりコストカットできているから、データが安定供給されることにつながります。今後も、地域課題の解決に向けて、民間の領域も含めたバックヤード側のさらなる業務のBPRを進めるとともに、社会構造を無理なく変えていく制度設計を行う中で、地理空間データ基盤を活用し、民間事業者も含めた多分野のデータ連携によるユースケースを段階的に拡充させ、官民連携による持続可能な都市経営に資する、まちづくりに取り組んでいきます。
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